ニチガクからのコラム
COLUMN
大学受験予備校ニチガクのスタッフがお届けする「役立つ」大学受験情報。受験勉強の休憩中にご一読を!
気がつけば、日一日と大学入試の足音が聞こえてくるようになってきましたね。
中には、総合型選抜や学校推薦型選抜などの出願期間や入試を迎えている人もいらっしゃると思います。
出願書類で欠かせないものが「調査書」。高校受験をされた方にとっては「内申書」と言ったら思い出されるのではないでしょうか。
近年、高大接続改革や大学入試改革などの一連の改革によって、実は今、「調査書」がひそかに脚光を浴びているのです。
それは、今受験勉強に取り組んでいる受験生の皆さんにとって大いに関係する内容となります。また、現時点で高校1年生、2年生の皆さんも必ず関わってくる内容でもあります。
なぜ、「調査書」が脚光を浴びるようになったのか、その内容が皆さんの受験にどのように影響するのかをこれから詳しくお話をしていきたいと思います。
そもそも「調査書」って何
はじめに、「調査書」について簡単にお話をしていきたいと思います。
「調査書」とは、皆さんが高校生活における活動全般を記録した「書類」のこと。
「調査書」について検索するとこのような説明がされています。
この「調査書」、主に次のような内容で構成された「書類」なのです。
・日頃の学習態度や学業成績などの学習内容(「学習成績の状況」と呼ばれます)
・出欠席の記録(「出欠の記録」と呼ばれます)
・学級活動や部活動などの課外活動の記録(「特別活動の記録」と呼ばれます)
上記の他に「指導上参考となる諸事項」というものもあります。
これらの内容は、皆さんが高校生活の3年間に関わった学級担任や副担任の先生、教科指導の先生、部活動や委員会などの顧問などとして関わった全ての先生方が、皆さんの日頃の様子を詳細に記録した文書となります。
先に述べた一連の改革によって、脚光を浴びたこの「調査書」。その中で特に注目を集めたのが「指導上参考となる諸事項」という項目。
実はこの項目について、大学側が「今まで以上」に注目するようになったら、皆さんどうしますか。さらに詳しくお話をしたいと思います。
「調査書」が一部変更になったって知っていますか
この「調査書」は大学へ提出が義務付けられている書類となるので、総合型選抜や学校推薦型選抜、一般選抜などの入試形態を問わず、受験校1校に付き1通、必ず提出を義務付けられているもの。
実は、文部科学省はこの「調査書」のフォーマットを一部変えました。なぜか。
「指導上参考となる諸事項」をたくさん書けるようにしたのです。そのため、高校の先生方が頭を抱える事態になりました。
部活動や委員会活動などの「特別活動」で記入する内容が盛りだくさんの生徒についてであればいくらでも書けるのですが、問題は「特に目立った活動がない」生徒については逆に空欄が目立ってしまうのです。
そうすると、どうなるか。「調査書」を受け取った大学側が、受験生を「多面的」に評価できなくなってしまうのです。
どういうことか。
文部科学省は受け入れ側である各大学に対して、「調査書」もきちんと見て合否の評価を下しなさいよと言っているのです。これは高大接続改革の流れを受けたもので、2021年度入試からは「調査書」も「点数化」しろとなっています。
そのため、大学側も「調査書」をきちんと読まないといけない仕組みになったのです。
「調査書」が点数化されるとどうなる
先ほどお話をした内容を見て、それって「総合型選抜や学校推薦型選抜」で受験する人だけでしょ、私は一般選抜入試だから関係ないでしょ、と思った方もいると思います。
実は、国公立大学では、文科省からの「調査書の点数化」の指導の下、「点数化された調査書」を2021年度入試の合否判定に加える方向で動いています。
実際に筑波大学では「活動の内容の優劣を評価するのではなく、活動の有無のみを点数化する」と既に公表しています。
(ただし、筑波大学は令和3年度一般選抜入試については新型コロナウィルスの影響で導入を見送り、調査書を除いた点数で合否判定をする公表しています)
筑波大学以外の国公立大学でも、一般選抜などで「調査書を点数化」する動きがありますから、国公立大学を受験予定の皆さんはそのことを頭の片隅に入れておいた方が良さそうです。
ただ、私立大学についてはどうかと言うと、一般選抜への加点要素とすることなく、「入学後の教育上の資料として活用する」という姿勢を崩していません。
理由としては、一般選抜の志願者倍率が4倍以上という大学が多く、試験日から合格発表までの期間が短いため、一人ひとりの「調査書」に目を通している時間がない、というのが実情のようです。
今後の「調査書」を含めた受験対策はどうする
さて、先ほど、一般選抜入試における「調査書の点数化」を合否判定材料にする国公立大学の動きと私立大学の対応について、少し触れましたが、では2022年度以降に受験を控える現役生の皆さんは今後どうしたら良いの、ということについてお話をしたいと思います。
まず国公立大学を志望校と考えている皆さんは、総合型・学校推薦型・一般選抜型の入試形態関係なく、日々の学校生活について今まで以上に意識して過ごす必要が出てきます。
なぜなら、日々の授業中での様子(課題の提出期限を守るとか、授業中の受講態度とか)が、そのまま大学側に筒抜けになるからです。
また、部活動や委員会活動などの「課外活動」についても、点数に換算されるため、より積極的に活動に参加するようにした方が良いのかな、と思います。
そのため、従来、卒業に必要な「単位」や「出席」の確認で収まっていた「調査書」をバカにできなくなってしまいました。
対して、私立大学は今のところ、国公立大学ほどの動きを見せていませんが、いつ一般選抜の「合否判定」に「調査書」が使われるかわかりませんので、私立大学志望の皆さんも、日頃から一生懸命勉強に、部活や委員会活動などに励んでいた方が良さそうですね。